0.02%の金持ちになるには

大半の庶民と何が違うのか

誘拐BMW

ゴォーという低音が感じられる。それは雑音でも騒音でも雷でもない。実に穏やかな音だ。誰かとしゃべっていると気にも留めないかもしれない。
ボディー剛性とかシャーシという言葉を借りるなら、まさにこの空間はそのすべての完成度が高い。
僕は今、BMW5シリーズの運転席でハンドルを握っている。
真夜中の都会から得られるのは人工的な光や音であって、そこにオーガニックさは感じられない。
「バーニラ♪、バニラ♪、バーニラ♪、フゥ♪フゥ♪」
光と音がトラックに集約されている。
一度聞いたら絶対に忘れないフレーズ。しかし、無意識下では何度も耳に入っていたのだろう。
スクランブル交差点で信号にひっかかった。
人通りはまばらだ。
ドライブレコーダーが搭載されたフロントガラス。
録画中なのは言うまでもない。
そこを1人の男が通り過ぎる。黒のジャケットに黒のズボン、黒のマスクをし、黒の帽子を被っている。中肉中背だ。
そして男の歩く前方には20代の女性がスマートフォンを見ながら歩いていた。
そして次の瞬間、その男はシマウマを仕留めるチーターのようにその女性に背後から近づき果物ナイフを女性の首もとに突き出した。そして男の両腕は女性の首もとに巻きつかれていた。
周囲には人がいない。
これを間近で見ているのはおそらく停車中のBMW5シリーズの僕らだけだろう。
「ちょっと出ていく」
僕がそう声を絞り出すと助手席に座る彼女は「危ないからやめて」とヒステリックに叫んだ。
彼女は僕の身の安全のためにそう言っているのだろう。しかし、今、見知らぬ男に果物ナイフで脅されている女性の身の安全はこれでは確保できない。
僕は彼女の警告を無視してBMWの頑丈なドアを開け、小走りにその男の方へと向かった。
しかし、その時にはもう、男は路肩に停めてあったワンボックスカーの中へ、その若い女性を引きずりこむ最中だった。
どうやらもう1人仲間が車内にいるようだ。
そして僕がそのワンボックスカーの前まで来た時にはすでにドアは閉まり、急加速していくだけだった。
僕はすぐにBMWに戻り、すでに青になっている信号をフル加速で突破した。
「事件ですか?事故ですか?」
「女の人が男に連れ去られました」
「場所はどこですか?」
「場所ですか…?」
「ゆうか、ちょっとナビで現在地見てみて」
「えっ、と、○○区○○町…」
「○○区○○町ですね?」
「はい」
「車のナンバー分かりますか?」
「○○ー○○…あとは見えないです」
ワンボックスカーは法定速度を優に越えるスピードで都会を駆け抜けていった。
僕もそれを追うが、信号にひっかかるとやがて姿を見失った。
「無理な追跡は控えてくださいね」
警察にそう言われ、やりとりは終了した。
「最近、流行ってるらしいよ」
「何が?」
「誘拐」
「都会のど真ん中で堂々と若い女性を誘拐するのが横行しているんだって。バックには中国系のマフィアがいて、たいていは素人の男2人を高額バイトと称して雇い、ワンボックスカーを貸し出して誘拐させているんだって。手口としてはまず男1人が背後から近づき果物ナイフを女性に突き出して、「静かにしていれば大丈夫だ」と脅し、そのままワンボックスカーに押し込むというものだ。そして車内では手首を縛り、目隠しをし、口をテープでふさぎ、所持品は全てとられる。たいていはコンテナ船で海外まで運ばれて人身売買や臓器売買されるそうだ。
なかには、車内で男2人にきっちり中だしされて、その後、意識を失った女性を山奥に放置するというパターンもあるらしい。でも、マフィアはあくまで女性を人身売買や臓器売買させて金にすることが目的だからそんなことをすれば末路はもう悲惨なものだ」
後部座席に座るサトシは淡々と語った。
「よく知ってるな。そんなこと。まるで経験者みたいだな」
僕が感心したように言う。
サトシは苦笑いする。
ウィキペディア情報だよ。真偽不明だよ」
「でも、さっきの見てたらまさにその通りの光景って感じがしたけどな」
「まあねぇ、ちょっとヤバかったな」
その時、警察から電話がかかってきた。
「○○さんですか?本部の○○という者です。
たった今、○○区全域に緊急配備を行いました。
ただ、事案が事案なだけにサイレンは鳴らさず、捜査車両の覆面だけ走らせています。また、各々、刑事から連絡が入ると思いますが、その時はご協力お願いいたします」
野太い声だった。やくざと変わらない威圧感が電話口から感じられた。
その後、僕らは街をくまなく流したが一向にあのワンボックスカーは姿を現さなかった。
見たのは路肩に停めてある捜査車両感丸出しの覆面車両に怯える一般車両の不自然なほどに遅い走りの滑稽な光景だけだった。
「あの女性無事だといいけど」
サトシの自宅前までBMWを横付けした際にサトシは言った。
「警察も動いているから大丈夫だよ」
僕はそう言って、サトシが自宅の扉を閉めるのを見届けてからBMWを静かに発進させた。
助手席に座る彼女とは付き合って1年になる。
あのワンボックスカーで連れ去られた女性と同じぐらいの年齢だと考えると、いつ彼女が襲われてもおかしくないと思った。
僕が運転するBMWは24時間入出庫可能な高層ビルの地下駐車場に入った。
フェラーリとマカン、あとは国産車がほとんど。
隅の方のあまり車が停めていないあたりにBMWを駐車する。
エンジンを切り、車のガラスを全てスモークにした。
そして彼女の胸を鷲掴みにし、助手席のシートを1番後ろまで引き、彼女のスカートをめくり、股を広げ、下着を横にずらすとそのあらわになった肉の部分に僕の固くなった肉の棒を当てた。ぬるぬると滑る感触があった。
そして挿入し、ひたすら腰をふると1分もしない内に射精した。果てた肉の棒を引き抜くと同時に白い液体が彼女の肉の部分からトロトロと流れ出て、それがBMWの本革シートまで濡らした。
彼女は脱力し、白い太ももと二の腕だけが飾りもののようにたたずんでいた。
そして駐車場の白いライトに反射して彼女の女性器がテカって艶々していた。