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大半の庶民と何が違うのか

中目黒サイレントセックス

高畑こうきに罪悪感など一切なかった。
男女平等、女性の社会進出を推進などと言うけれど、蓋を開けてみれば現実はその真逆をいっているような気さえする。
知人の和民かほは大手の企業でそこそこの地位に就いているが、独身だ。
実家暮らしで彼氏もいない。
そんなかほに親は早く結婚しろとは言わないが、それと変わらない圧力を加えられているようだ。
まさに女性蔑視ではないか。誰が決めた?女性は彼氏を作って結婚しなければならないのか?
孫の顔を見たいという願望そのものを否定するわけではないが、彼女(かほのこと)の「ひとりでいたい」という気持ちも否定してはならない。
一方、高畑こうき(以下、僕)は中目黒のデザイナーズマンションの一室で「かなで」という24歳のOLの女性といた。
僕自身、既婚であるし、そもそもそのような状況で妻以外の女性とマンションの一室にいるということ自体がおかしい。それは重々分かっていた。
かなでは身長が150㎝ぐらいで肌が白く、小柄だ。
胸はさほど大きくないが、彼女の体型に自然な形でフィットしている。
お尻の形がきれいでずっと触っていたくなる。
かなでとは英会話スクールで出会った。
同じクラスになって少人数の上にペアワークもあるから自然と関わり合えた。
彼女はおしゃれにも気を遣っていて、礼儀正しかった。
そんな彼女とラインを交換して1年ぐらいは何事もなく時だけが過ぎていた。
まるで僕の青春時代のように。
しかし、ある夜、彼女から突然、ラインが来た。
そんなにやり取りもしていなかったのに。


「お疲れ様です。
高畑さん、もしよかったら中目黒のカフェに行きませんか?」

僕は了承した。
カフェに行くぐらいならいいだろうと。
しかし、これが誤りだったことに気づいたのは、カフェで彼女と落ち合って、それぞれケーキと紅茶を頼み、英会話の話などをして、その後に、いい流れになってこれはチャンスと言わんばかりにラブホテルに駆け込んで、部屋の扉を開けた瞬間、キスしてスカートをずらしてそのまま挿入してしまってからだった。

「高畑さん、すごい触るね」
行為を終えた後、ベットの上でお互い裸になって僕は彼女の太ももやお尻を撫でていた。

「お尻の形、すごいきれいだね」
僕がそう言うと、彼女は、これでもたるんでると謙遜した。
どうやら胸が小さいことも悩みらしい。

「そんな風に言ってくれるの高畑さんが初めて」
僕が彼女のお尻や胸、身体のラインがきれいだと褒めていると、彼女はそう言って喜んでいた。



僕は英会話スクールで出会った時から彼女とセックスしたいと思っていた。
普段は街中で女性に目がいっても「妻より格下だ」と勝手に評価して見下していた。でも、それは浮気防止のためでもあり、今、考えればいいことだった。別に口に出して言っているわけではないのだから。
でも、彼女は違った。何度見ても、僕の妻より格下だと思えなかったのだ。むしろ、格上だった。どう、言い聞かせようとしても難しかった。
そして、洋服を着ていても肌のしっとりとした感じや美しいボディーラインが伝わってきて、一度でいいから彼女とセックスしたいと思わずにはいられなかったのだ。
しかし、実際に裸を見て、挿入すれば意外と大したことないかもしれない。
そう期待もしていた。(これは妻のために)
だが、その期待も見事に外れた。
あの中目黒のカフェの一件以来、もう一度、彼女とラブホテルでセックスをしたのだ。
その時はベットの上でゆっくりと時間をかけて正常位で行った。
そして、イキそうになった時に彼女を抱きしめたのだが、その瞬間、これまでにないほどのフィット感を感じたのだ。居心地のよさと表現すればいいだろうか。
仮に、人間、ひとりひとりが壮大な海原の景色が広がる複雑なパズルのピースだとすれば、僕と彼女はその景色を完成させる最後の2ピースのようであった。
そこには、パチッ、パチッ、と最後の2ピースをはめてパズルを完成させるような気持ちよさがあった。これで、僕たちは完成する、と。
この、抱きしめた時の感覚がたまらなくて、彼女とは週に1回程度、急遽、借りた中目黒のデザイナーズマンションの一室で行為に及ぶようになった。
僕からすればこれは浮気であり多少の罪悪感が伴う。
でも、それを彼女は知らないだろうし、妻もまた気づいていないだろう。
僕はそんなにも魅惑的な彼女を憎いと思っているし、妻がそれを知ればさらに憎いと思うだろう。