0.02%の金持ちになるには

大半の庶民と何が違うのか

人生における不幸に見せかけた「幸い」

おそらく、彼らにはその時、目の前にあるタイタンに乗らないという選択肢はなかったのだろう。3500万円のお金を支払ってまで成し遂げようとしていたことなのだから。たとえそれが彼らにとって大した額ではなかったとしても。

海底に眠るタイタニック号を間近で見たい、その一心だったことだろう。

 

僕は、このニュースを見て深海に興味を持った。人間を破壊するほどの水圧が迫る世界にはどんな景色が待っているのだろうとユーチューブで「深海」と検索して出てきた動画を見たりもした。

 

彼らもまた、海に魅せられ、深海に興味を抱き、タイタニック号に辿り着いた。でも、そんな魅力的なものに近づいて夢中になった結果、大切な命を失った。

 

今、あなたの目の前に魅力的な人がいるとする。

その人に恋をし、一緒になりたいと願う。

でも、その先に待っているのは絶望かもしれない。

 

別れを告げられたり、失恋したりするワンシーンだけを切り取れば、それは不幸だ。でも、それがなければ待ち受けていたであろう絶望を回避したと考えればそれほど悲しくはなくなる。

 

タイタンに乗り込む前にもしCEOが「今日は天候が悪いため中止にします」と言っていたら、富豪や冒険家は落胆していただろう。とんだ不幸だと。裏切られた気持ちになっていただろう。

 

でも、それが「死」という絶望を回避するための不幸に見せかけた「幸い」だったとすれば、何の手土産もないまま海に浮かぶタイタンを背に家路につくこともそれほど悪くはなかっただろう。