「問題はどうやって辞めさせるか。不自然さが出ないように。いたって自然な流れで。そして相手から反論されないように」
「聞いた話によると、○○商事の○○さんが業務上のトラブルで解雇になった時、○○さんが不当解雇だと裁判を起こしたそうだ。結局、最高裁まで争ったそうだ」
「ふっ、馬鹿みたいな話ですね。」
「とは言え、うちも他人事ではない。やつが裁判でも起こそうものなら」
「そうですね。いかにもっともらしい理由を作り上げるか」
「一番いいのは自主的に退職してもらうことだが」
「そうですね」
「あいつは清掃や雑用などの単純作業は好んでするようで、苦にはならないだろう。そして、素行も悪くないから美人局まがいの策略も空振りで終わるだろう」
「困ったものですね」
「ひとつ、案がある。それは、客の来ない店の店長をやらせるということだ」
「つまり、業績悪化をでっちあげると?」
「そういうことになる」
「いくつか候補はあるんだ。巷ではゴーストタウンと呼ばれているようなところだ」
「店長をやらせれば業績悪化の責任を取らせることができる。やつも反論できないだろう」
「いよいよオープンします。頑張っていきましょう」
Mac片手に急ぎ足で新店舗のオープン準備をはじめる店長の克己両次は借金1000万円を抱えていた。
完