0.02%の金持ちになるには

大半の庶民と何が違うのか

中目黒サイレンセックス3

彼女は明らかに愛着障害だ。少なくとも幼少期に存在を肯定されて育てられてはいない。そのツケが今、恋愛において表出してしまっているのだと思った。つまり、承認欲求不満な状態なのだ。おそらく対価なき無償のいいねが欲しいのだろう。見返りのある愛なんて彼女はもはやいらないのだろう。つい最近までは見返りのある愛に支えられていたくせに。彼女はなんてわがままなんだろうと思った。しかし、見返りのある愛をたくさん受けたからこそ、今、その虚しさに直面しているのだとも言える。

 

いつものシティホテルは祝日だと満室に近い。白いシーツのダブルベッドとデスク、チェアがあるだけのシンプルな部屋が一番落ち着けたりする。だから好んでこのシティホテルのダブルルームをとっている。そこでセックスをして男はすっきりして女はいろいろ考えるのだろう。射精後にベッドに横たわっていると彼女は隣で仰向けになり何もない白い天井をぼーっと見つめている。何も語らないけど、どこか現状に満足していない様子をうかがい知ることができる。このまま私はセックスだけの関係なのか。飽きられたら捨てられて終わりか。そんな風に考えているのかもしれない。見返りのある関係は見返りがなくなれば(飽きれば、気が変われば)終わってしまう関係だ。彼女はそれを誰よりも敏感に察知し、分かっている。幼少期の愛着障害は彼女の人を見る目(本質)を誰よりも光らせているのかもしれない。

 

僕が彼女から投げかけられているのはきっと無償の愛だ。ヤるために連絡するとか、すっきりした後に「好きだよ」って言うのではない、見返りを求めない愛なんだ。彼女はそうした愛に飢えている。見返りのある愛では足りなくなってきたのだろう。

 

 

僕は彼女の求める無償の愛を満たしてあげるために出会ったのかもしれない。

 

 

シティホテルを出て、夕方の路上を歩く。電車に乗るには運賃を求められる。レストランに行けば飲食代金を支払わねばならない。

無数のビルがひしめき合い、高速道路の入口や出口が案内標識を見てもわけの分からないような形状で待ち構え、無数の自動車やタクシーが走行している。通行人はみな無表情に見える。個性を出せばそこで終わりなゲームをしているかのようだ。でも、これだけたくさんの人や情報で溢れている都会なのに、ビルに反射する夕日は何の見返りも求めない無償のサプライズだ。そんな夕日に視線を奪われてしまうのはきっと自分も無償の愛を求めているからだと思った。