0.02%の金持ちになるには

大半の庶民と何が違うのか

昨日のデートを文字化してみた

閑散としている都会はどこか地方都市のメインストリートを彷彿とさせる。
そこにCG合成でもされているかのようにぽつんと立つ少女。
とびっきりの笑顔は視力の悪い人間が遠くからでも捉えることができるほどはっきりとしていて美しかった。
パステルカラーが似合うのは若さゆえの特権である。


僕らはホテル街をうろうろし始める。
そして少女は世間話を続ける。
ホテルの入口前にぴたりとつけた乗用車は風俗の送迎用だろう。


僕らは山の手線のレールの上を歩くように
「ラブホテル入口前」という終着駅を目指す。


まもなく、ほぼ自然に、何の違和感もなく、停止線手前で時刻表通りに到着した。



カウンターの先は見えない。だが、思いを馳せることはできる。
どんな人が働いているのだろう。そしてここのラブホテルの名称は誰かの趣味なのだろうかと。


エレベーターに二人乗り込む。
無言が体内では騒がしくなる。


部屋番号に4や9がついているのを躊躇するたちではないが、彼女はどうか分からない。
ただ、彼女のその小さくてマスコットのような存在から少なくともスピリチュアルな要素は見いだせない。


部屋に入る。
扉の閉まる音が僕と彼女との内緒話を可能にする。
さあ、今日はどんな秘め事をしようか。


白いシーツのベッドに二人横たわる。
お互いに肩を寄せ、顔と顔を近づけ見つめ合う。
彼女はにっこり笑う。
ほのかに甘い、だけれど、体臭を隠すようなわざとらしい香水の匂いでもない、言うなればこの瞬間しか放たれない若さの匂いが彼女からする。
それは本当にさりげなくて儚くて頼りないが、鼻腔が一種の突起物だとすれば確実に勃起している。



「子どもが好きなの。」
そんなことを男がいる密室のベッドで言う。
君もまだ子どもみたいなものだよ。



服の上から自然に触れる。
肩、二の腕、胸、腰、臀部、太もも。
僕は焼き鳥屋さんでも鶏を育てる人間でもない。
なのに、どうしてそんな部位ごとにひとつひとつ噛み締めなければならないのだ?
一度、起き上がり、彼女は服を脱ぎ始めた。
どんどん露になっていく彼女の全て。
僕はブラジャーのホックに手をかける。
まるで、彼女の胸だけを管理しているようだ。
ホックを外せるのは僕だけでそれ以外の人間は誰も触れることさえできない。そして覗くことも。



こんなに立つの?というぐらい、あるいは、見えざる手によって引っ張られているのではないかというぐらい乳首が立っている。
それを指でなぞると彼女は電流でも浴びたかのようにビクッとなる。
「気持ちいい」
さきほどのぱっちりとした両目はもう開けていられないようだ。
死ぬ直前の魚のように。



彼女は体育座り(ほぼM字開脚)をして胸だけを開放している。
僕はスカートの中から見える白いパンティに目をやる。
暗い洞窟を駆け抜けた最後のご褒美がやっと見えてきたようだ。
僕はスカートの中に頭ごと侵入する。


「恥ずかしい」
彼女は照れ笑いする。
匂いはしないが、何かを感じとることはできる。
生暖かくて優しくてやはり儚い何かを。


そしてまた寝ころがり、身体を密着させる。
太ももと太ももが密着され、腕と腕が密着される。
僕は左手を彼女のパンティの上あたりに置く。
もっこりしていて柔らかい。
そして優しくさする。
声にならない吐息が彼女の口から漏れる。
そして若干、身をよじらせる。


僕はそれに構うことなく今度はパンティの中に手を入れる。
まず、毛の感触と生えかけのじりじりした感触があった。
そしてそのまま手を下ろしていく。
見つけた。
柔らかくて複雑な感触があった。
そこを指で撫でるだけでじわじわと何かが滲み出てくる。
並のマジシャンでもかなわないのではないかと優越感に浸る僕はさらにそこを撫でる。

「濡れてるね。」

「気持ちいい。」


とろとろしてにゅるにゅるした液体。

「パンティが汚れるから脱いでいい?」

びしょびしょになることを感じとったのだろうか。
自らパンティを脱いだ。

僕は強く抱きしめる。彼女もそれに応じる。
乳首は立ったままだ。
「恥ずかしい」
彼女はそう言ってまた照れる。



どこかの突起物に触れた時、彼女はあえぎ声を出しながら痙攣する。

「あったかい」
彼女は何回もそう言う。
そしてキスをするときの顔になる。




「気持ちよかった」
本当にどこかに行ってしまったようだった。



シャワーを浴びて服を着る。
試しに自分の左手を嗅いでみた。
チーズのような匂いと尿と汗が3対3対1の割合で混じった匂いがする。
この匂いが土産だ。
手は洗わないでおこう。



「じゃあ出よう」
僕と彼女は部屋を出る。
エレベーター前で彼女はハグを求めた。
僕は目一杯ハグした。
目の前には大きな鏡があって、僕はその抱きしめている姿を鏡越しに見てみた。
パステルカラーの彼女とそこに巻きつかれた僕の両腕。
彼女は小柄だ。
あるいは僕が大きすぎて相対的に彼女が小さく見えるのかもしれない。
長くて黒い髪は艶があり、はりがある。
ずっと触っていたい。
そしてまた、お尻を撫でる。
「ここで?」
彼女は嬉しそうに動揺する。
そのとき、エレベーターの扉が開いた。
僕と彼女は一体となって乗り込む。
そして扉が閉まる。

「抱きしめて」
また彼女はハグを要求してきた。
こんなにハグが好きな少女は初めてだ。
僕はその要求に応え、また彼女を強く抱きしめた。
するとすぐ扉が開いた。
防犯カメラの向こう側のおっさんを楽しませることぐらいはできただろうか。


「また会おうね」
彼女は何回もそう言う。
まるで明日から、僕だけが海外に行ってしまうかのように。
「いつでも会えるじゃん」
そう言いたいところだが、彼女は彼女自身をさらけ出せばさらけ出すほど、僕の心が彼女から離れないか不安なようだ。
そして僕自身も分からない。
たしかに彼女のことが好きだ。
でも、軽々しく誓えたりはしない。
それは彼女のことを想えば想うほどに。