0.02%の金持ちになるには

大半の庶民と何が違うのか

ミステリー小説

都心陰部 

都心部 旅行予約サイトにはバツ印があったから、その日は満室なんだと諦めていた。しかし他の宿がしっくり来ず、ダメ元でその満室であろう日にちを電話でその宿に直接問い合わせてみた。 「宿泊したいのですが、○日はもう満室ですよね?」 最初から諦めたト…

タワマン身勝手男たち6

平日の夜、カシオはラブホテル街を徘徊していた。 そういう癖がいつの間にか生じていた。 何をするわけでもなく、ただ、ラブホテル街を徘徊しながら、A子とゆかりのことをぼんやりと考えているのだった。 どちらが自分にとって大切な人なのだろうと。 本当は…

タワマン身勝手男たち4

アイドルがイケメン男性とラブホお泊まり。この日、打ち合わせを終えたA子はタクシーを事務所前に付け、乗車後、大ターミナル駅付近のラブホテル街で停車。 降車したA子のもとに、ジャニーズ風イケメンの男性が駆け寄り、二人はシックな外装で有名なラブホテ…

タワマン身勝手男たち3

「もしケアをしなかった場合、このようになります。かなり濃いですよね。 でも月々これだけで無理なく通っていただけるので、そう考えるといかがでしょう?」「そうですね」「1年と2年のコースがあります。月々の支払いは頭金によって変わってきますが…」 …

タワマン身勝手男たち2

一昔前ならイケメンなだけでもてはやされた。 今はどうか。 イケメンなだけでは一歩及ばず状態になってきている。 イケメンな上に資産家とか何か特別な才能がないとモテない。 テレビを見てみればそれがよく分かる。 たとえば最近のJポップは歌が上手いのは…

タワマン身勝手男たち

この窓からだと人も車も鉄道も、みなちっぽけに見えてしまう。 ないものねだりな性格は誰に由来したのだろう。その窓を眺めながらカシオはふと思った。 脚のきれいな女性、ぱっちり二重の女性、胸元に思わず目がいきそうになる女性、白くて柔らかそうな二の…

美女と同期する

スマホが重たくなっていくのを自覚したのは今日が初めてではない。 だが、アラビア数字の羅列された意味不明のファイルが勝手にダウンロードされていたり、充電器につなげてもなかなか充電されないなどといった症状は今日が初めてだ。 そして、そんな困惑し…

路地裏ナース

師走の風が肌を通り抜け、身体全体が冷たくなっていくのを感じながら僕はひたすら自転車を漕いでいた。 ちょうど日付けが変わって1時間が経過しようとしている街はいつもとは違う夜更けの序章へと僕を案内しているように感じられる。 今、僕の自転車のかごに…

中目黒サイレントセックス

高畑こうきに罪悪感など一切なかった。 男女平等、女性の社会進出を推進などと言うけれど、蓋を開けてみれば現実はその真逆をいっているような気さえする。 知人の和民かほは大手の企業でそこそこの地位に就いているが、独身だ。 実家暮らしで彼氏もいない。…

誘拐BMW

ゴォーという低音が感じられる。それは雑音でも騒音でも雷でもない。実に穏やかな音だ。誰かとしゃべっていると気にも留めないかもしれない。 ボディー剛性とかシャーシという言葉を借りるなら、まさにこの空間はそのすべての完成度が高い。 僕は今、BMW5シ…

不倫タクシー

蓮華寺昭二。71歳。 時刻は午後11時。 個人タクシーの運転手をしている。 働く時間は主に夜から明け方にかけて。 仕事柄、山道を走ることが多い。 というより山道をよく行き来するのだ。 乗せるお客さんはみんなあの宿を利用している。 錆びて茶色になったの…

夜更けの在りかを知りたい

きめの細かい柔らかな白い素肌を撫でると小さな無数の粒々が皮膚からじわりと浮き出した。 鳥肌を立てるのは恐怖の時だけじゃないのだと僕は知る。 そして背後から抱きしめる。その抱きしめた僕の両腕が少しずつ彼女の胸元へと降りる。 ブラジャー、洋服とい…

アップ・トゥ・デイト

その夜、いつも行くバーの店員が(愛想はなかったが客が少ない分、仕事は丁寧だった)急によそよそしくなって、それに呆れた僕はバーを出た。 「残念です」 そう電話を入れ、そのバーと完全決別した。 この時、バーの店員は若干動揺しているようだった。まさか…

11の場面が紐解くミステリー小説

あれは昨夜、一人でドライブしていた時のことです。 最後のことづて公衆電話ボックス situation1 深夜のドライブ緊急事態宣言が出されていても外出自粛には嫌気が さしてきた薫は一人で深夜のドライブに出かけていた。 国道をひたすらまっすぐ西へ進む。 都…