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大半の庶民と何が違うのか

恋愛小説

君のいいねは捨てられない

マッチングアプリで出会った彼女とはすんなり会えた。居酒屋で食事をし、広島に旅行に行くことまでその日に決まった。会話のフィーリングも合うし、音楽が趣味というのも同じだ。 彼女は保育士をしていて、職場での不満を漏らしていた。「子どもは好きなんで…

都心陰部 

都心部 旅行予約サイトにはバツ印があったから、その日は満室なんだと諦めていた。しかし他の宿がしっくり来ず、ダメ元でその満室であろう日にちを電話でその宿に直接問い合わせてみた。 「宿泊したいのですが、○日はもう満室ですよね?」 最初から諦めたト…

無になれる場所

気がついた時には真っ暗な視界が僕の前に広がっていた。正確に言えば真っ暗なのに横に誰かが笑っているような感触さえあった。僕は起き上がろうとするが全く身体に力が入らない。誰かに身体を押さえつけられているわけでもないのに。突然怖くなった。自分の…

タワマン身勝手男たち6

平日の夜、カシオはラブホテル街を徘徊していた。 そういう癖がいつの間にか生じていた。 何をするわけでもなく、ただ、ラブホテル街を徘徊しながら、A子とゆかりのことをぼんやりと考えているのだった。 どちらが自分にとって大切な人なのだろうと。 本当は…

タワマン身勝手男たち5

自分の目をつけた女性に限って男が群がる原理は自分の場合だけなのだろうか? 自分の目をつけた女性が男たちにとって、とても価値あるようにみえるのだろうか。 めったに口説かないあいつがアプローチする女性。 きっとすごいに違いない。 早く奪ってしまえ…

タワマン身勝手男たち4

アイドルがイケメン男性とラブホお泊まり。この日、打ち合わせを終えたA子はタクシーを事務所前に付け、乗車後、大ターミナル駅付近のラブホテル街で停車。 降車したA子のもとに、ジャニーズ風イケメンの男性が駆け寄り、二人はシックな外装で有名なラブホテ…

タワマン身勝手男たち3

「もしケアをしなかった場合、このようになります。かなり濃いですよね。 でも月々これだけで無理なく通っていただけるので、そう考えるといかがでしょう?」「そうですね」「1年と2年のコースがあります。月々の支払いは頭金によって変わってきますが…」 …

タワマン身勝手男たち2

一昔前ならイケメンなだけでもてはやされた。 今はどうか。 イケメンなだけでは一歩及ばず状態になってきている。 イケメンな上に資産家とか何か特別な才能がないとモテない。 テレビを見てみればそれがよく分かる。 たとえば最近のJポップは歌が上手いのは…

タワマン身勝手男たち

この窓からだと人も車も鉄道も、みなちっぽけに見えてしまう。 ないものねだりな性格は誰に由来したのだろう。その窓を眺めながらカシオはふと思った。 脚のきれいな女性、ぱっちり二重の女性、胸元に思わず目がいきそうになる女性、白くて柔らかそうな二の…

美女と同期する

スマホが重たくなっていくのを自覚したのは今日が初めてではない。 だが、アラビア数字の羅列された意味不明のファイルが勝手にダウンロードされていたり、充電器につなげてもなかなか充電されないなどといった症状は今日が初めてだ。 そして、そんな困惑し…

路地裏ナース

師走の風が肌を通り抜け、身体全体が冷たくなっていくのを感じながら僕はひたすら自転車を漕いでいた。 ちょうど日付けが変わって1時間が経過しようとしている街はいつもとは違う夜更けの序章へと僕を案内しているように感じられる。 今、僕の自転車のかごに…

告白8ビート

彼女とは半年ぶりに再開することになった。 待ち合わせ場所に現れたのは以前と変わらない彼女、ゆずという女の子だった。 小柄で丸顔で童顔だ。 「会えると思ってなかった」 彼女は言った。 「ずっと会いたいと思ってたんだ」 僕が言う。 そして、僕と彼女は…

誘拐BMW

ゴォーという低音が感じられる。それは雑音でも騒音でも雷でもない。実に穏やかな音だ。誰かとしゃべっていると気にも留めないかもしれない。 ボディー剛性とかシャーシという言葉を借りるなら、まさにこの空間はそのすべての完成度が高い。 僕は今、BMW5シ…

不倫タクシー

蓮華寺昭二。71歳。 時刻は午後11時。 個人タクシーの運転手をしている。 働く時間は主に夜から明け方にかけて。 仕事柄、山道を走ることが多い。 というより山道をよく行き来するのだ。 乗せるお客さんはみんなあの宿を利用している。 錆びて茶色になったの…

夜更けの在りかを知りたい

きめの細かい柔らかな白い素肌を撫でると小さな無数の粒々が皮膚からじわりと浮き出した。 鳥肌を立てるのは恐怖の時だけじゃないのだと僕は知る。 そして背後から抱きしめる。その抱きしめた僕の両腕が少しずつ彼女の胸元へと降りる。 ブラジャー、洋服とい…

眠らない車、カーシェア

ときどき、警察から利用者情報の開示を求められる。 個人情報保護法とか言うけれど、そんなもの刑事には通用しない。主にカーシェアサービスを展開する会社に入ったのは車が好きだったからだ。 単にそれだけの理由である。 その頃はまだ、広告にお金をかけて…

悪魔のプロポーズ

海の見えるレストランで食事することなどめったにない。 たまに仲のいい女友だちと女子会をする程度だ。 付き合って3年になる彼に誘われてやって来たイタリアンのお店。 ふかふかのソファ席に座れば目の前に海と大都市の夜景がひろがる。 「みさきと付き合っ…

ビジネスホテルの覗き穴

僕は今、ビジネスホテルの部屋にいる。 有名な寝具メーカープロデュースのセミダブルベッド、過不足のない各種アメニティ、掃除のプロによってきれいに清掃された部屋。 今日はお盆休みのうちの1日だからいつもより多いようで、扉の外から宿泊客が出入りする…

ビジネスホテルの覗き穴(あらすじ)

あらすじ 仕事の都合でビジネスホテルに連泊することになった僕はホテルの部屋の覗き穴に興味を奪われる。 最初は何も変わったことはなかったが、感覚を研ぎ澄ませるうちにどんどん景色が変化していく。 そしてある若い男女の声に注目する。 近日公開予定 「…

A子とB子の予感とタイミング

「ブスとかデブがいるから美女が可愛く見える。 大半の男にとっての世界には必ずブスやデブな女がいる。そして10人や100人に1人ぐらい可愛い女がいる。こういう女はとびきり可愛くてモテるんだ。 でもその周囲の男のスペックもそんなに高くない。 そして満足…